【はじめに】遺言書は「死ぬ準備」ではなく「家族への最後のラブレター」

「遺言書(いごんしょ)なんて書くのは、まだ早いし縁起でもない」
「うちは財産も少ないし、兄弟仲もいいから必要ないよ」
多くの方がそうおっしゃいます。しかし、相続の現場を数多く見てきた専門家(?)として、はっきりとお伝えしたい事実があります。
実は、遺産争い(争族)の約75%は、遺産総額5,000万円以下の「普通の家庭」で起きているのです。
大金持ちの家は、顧問税理士が入って事前に対策をしていますが、普通の家庭こそ「誰が実家を継ぐか」「わずかな預金をどう分けるか」で感情的な争いに発展しやすいのです。
この争いを未然に防ぐ唯一の方法が「遺言書」です。
今回は、法的に有効な遺言書の書き方と、大きく分けて2つある種類の違いについて解説します。
そもそも遺言書には「2つの種類」がある

遺言書には、大きく分けて「自筆証書遺言(じひつしょうしょいごん)」と「公正証書遺言(こうせいしょうしょいごん)」の2種類があります。
ざっくり言うと、以下の違いがあります。
- 自筆証書遺言:自分で紙に書く。手軽だがリスクが高い。
- 公正証書遺言:プロ(公証人)と一緒に作る。手間はかかるが安全確実。
それぞれのメリット・デメリットを見ていきましょう。
1. 手軽だけど超危険?「自筆証書遺言」の落とし穴

「紙とペンさえあれば、今すぐ0円で書ける」のが自筆証書遺言です。
しかし、法律のルールが非常に厳しく、一歩間違えると「無効(ただの紙切れ)」になってしまうリスクがあります。
絶対に守るべきルール
- 全文を自筆で書く(パソコン・代筆はNG。※財産目録のみパソコンOKになりました)
- 日付を正確に書く(「令和〇年〇月吉日」などは無効)
- 署名・押印をする
- 訂正の仕方が厳格(修正テープはNG)
よくあるトラブル
- タンスの奥にしまっていて、発見されなかった。
- 見つけた親族が、自分に不利な内容だったので隠蔽(捨てて)しまった。
- 開封する時に、家庭裁判所で「検認(けんにん)」という手続きが必要で、家族の手間がかかる。
「とりあえず書いてみる」には良いですが、本番用としてはあまりおすすめできません。
(※ただし、2020年から法務局で自筆証書遺言を預かってくれる制度が始まり、紛失リスクは減りました)
2. プロが作るから最強!「公正証書遺言」

こちらは、「公証役場(こうしょうやくば)」という公的機関に行き、元裁判官などの法律のプロ(公証人)に作成してもらう方法です。
メリット
- 無効になる心配がない(プロが書くので形式不備がない)。
- 原本が役場に保管される(紛失・偽造・隠蔽の恐れがゼロ)。
- 手続きがスムーズ(亡くなった後、家庭裁判所の検認なしで、すぐに銀行や不動産の手続きに使える)。
デメリット
- 費用がかかる(財産額によるが、数万円〜十数万円程度)。
- 証人(立会人)が2人必要。
費用はかかりますが、「家族に絶対に揉めてほしくない」「確実に想いを残したい」という場合は、迷わずこちらを選ぶべきです。
どちらを選ぶべき?タイプ別診断
あなたはどちらのタイプでしょうか?
自筆証書遺言が向いている人
- まだ若くて元気だが、念のために書いておきたい。
- 財産の内容が頻繁に変わりそうで、書き直す可能性がある。
- 誰にも知られずにこっそり書きたい。
公正証書遺言が向いている人
- 「長男に家を継がせたい」など、特定の希望が強くある。
- 子供がいない(兄弟姉妹に相続させたくない、または妻に全額あげたい)。
- 推定相続人(将来相続する人)同士の仲が悪い。
- 認知症の不安が少しある(判断能力があるうちに作りたい)。
まとめ:遺言書は「家族への思いやり」

遺言書がない場合、残された家族全員で「遺産分割協議」という話し合いをしなければなりません。
ここで意見が食い違うと、これまで仲の良かった兄弟が絶縁状態になってしまうこともあります。
遺言書があれば、その話し合いをスキップして、あなたの指定通りに財産を渡すことができます。
「喧嘩しないでね」というメッセージを、法的な効力のある形で残すこと。
それが遺言書です。
「公正証書遺言を作りたいけど、何から準備すればいいかわからない」という方は、サポートを行っている行政書士や司法書士に相談してみてください。(ご相談先に悩んだ際は、当社がご紹介させていただきます)
面倒な書類集めや、公証役場との打ち合わせをすべて代行してくれます。
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