「家を壊したら、そのあと何をすればいいんですか。税金はどうなります?」
過去のご相談事例から、こんな質問を取り上げます。個人が分からないよう、細かいところは変えています。
ご相談の方は、親御さんから相続した西宮の古い家を、地元の不動産会社に頼んで売りに出している最中でした。その家の解体を考えている。解体後の手続き、固定資産税、それに売ったときの税金――とくに「空き家の3,000万円控除」について知りたい、という内容です。
すでに不動産会社に頼んでいる方です。解体するかどうかは担当の会社とよく相談してください、と前置きしたうえで、順にお答えしました。
壊したあとの手続き:1か月以内に滅失登記

家を壊しても、登記簿には建物が残ったままになります。不動産登記法で、建物がなくなった日から1か月以内に、滅失の登記を申請することになっています。
解体業者から取り壊しの証明書をもらって、建物のある場所を受け持つ法務局に申請します。これをしないままだと、登記簿の上ではまだ家が建っていることになって、土地を売るときに話がややこしくなります。建物が亡くなった親御さんの名義のまま、ということもよくあるので、そういうときは土地家屋調査士や司法書士、法務局の窓口に進め方を確かめてください。
固定資産税:1月1日に家が建っているかどうか

固定資産税は、毎年1月1日の時点で持っている土地や建物にかかります。住宅が建っている土地には住宅用地の特例があって、200㎡までの部分は税額を出すもとの額が6分の1、それを超える部分は3分の1になります。
家を壊すと、この特例が外れます。年内に解体して1月1日に更地だと、その年度の土地の税金は大きく上がる。
なので、売れるのがいつごろになりそうか、年をまたぎそうか。これも一緒に考えてください、とお伝えしました。解体の時期を少しずらすだけで違ってくることもあります。
売ったときの税金:所有期間は親から引き継ぐ

税金のことは税理士か税務署で確認を、という前提で、二つだけお話ししました。
一つめは所有期間です。売った年の1月1日時点で所有期間が5年を超えていれば長期譲渡所得、5年以下なら短期譲渡所得で、扱いが変わります。相続した家の場合、この期間は原則として親御さんが取得した日から数えます。相続してすぐ売っても、親御さんが長く持っていた家なら長期のほうになる、ということです。
3,000万円控除:期限と条件を先に見る

二つめが、ご相談の本題だった特例です。国税庁の案内では「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」という名前で、条件がそろえば売った利益から最高3,000万円を差し引けます。ただし、相続した人が3人以上だと2,000万円まで(令和6年1月1日以後の売却)。
「空き家特例」と呼ばれることが多いせいか、相続した空き家なら何でも使えると思われがちです。実際は条件が細かく、引っかかりやすいのは建てた年と、亡くなる前に誰が住んでいたか。二世帯で同居していた家などは、ここで外れてしまいます。
主な条件はこうです。
- 昭和56年5月31日以前に建てられた家
- 亡くなる直前、親御さん以外にその家に住んでいた人がいない
- 相続の日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る
- 売却代金が1億円以下
- 特例そのものの期限として、令和9年12月31日までの売却であること
解体してから土地を売る場合は、もう少し気をつけることがあります。相続してから解体するまで、その家を貸したり住んだり事業に使ったりしていないこと。相続から売るまで、土地もそういう使い方をしていないこと。解体してから売るまで、土地に建物や構築物を置いていないこと。たとえば「売れるまで駐車場で貸しておこう」とやってしまうと、使えなくなるおそれがあります。
使うには確定申告が必要で、家のある市区町村から「被相続人居住用家屋等確認書」をもらって添えます。西宮の家なら西宮市です。
ご相談の当時も、この特例は期限が近いと言われていました。その後延びて、いまは上のとおりです。また変わることもあるので、売る前に国税庁の案内で最新のものを見てください。
解体する前に、この順で

- 3,000万円控除が使えそうか、建てた年・住んでいた人・売る期限の三つをまず確かめる
- 使えそうなら、壊してから売るか、家付きのまま売るかを決める。家付きで売って、買主が売った年の翌年2月15日までに取り壊す場合も対象になることがあるので、条件を税務署で確認する
- 解体の時期は、1月1日をまたぐかどうかで決める
- 解体が終わったら、1か月以内に滅失登記
すでに売却を頼んでいる不動産会社にも、この順で考えていることを先に伝えておいてください。解体するかどうかで売り出し方も変わるので、担当の方も動きやすくなるはずです。
家付きで売るか更地で売るかの違いは古家付き土地と更地渡しの違いに、相続した家の売却の流れ全体は相続した不動産の売却のページにまとめています。
解体は、やってしまったら戻せません。控除の条件を見たら壊さないほうがよかった、という順番にだけはならないように。
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